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歌・曲紹介

挫折、帰郷、ふるさとからの再始動...! amazarashi『戸山団地のレインボー』歌詞・考察・解説

久々にブログ更新です。
驚いてしまったのですが、最後に書いたのは2年以上も前。
時が過ぎるのは恐ろしいほど速い。
そんな自分の2年間の間に変化が色々ありましたね〜。
まあ、またそれは追い々い語る日も出てくるかな〜と思います。

そんな感じでゆるりとブログ執筆活動再開していきます。
気ままにやっていくので暇つぶしででも見ていってもらえると嬉しいですね。

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さてさて、去る年、2022年10月、
amazarashiのライブに3年ぶりに行けて、
考察を書きたい気持ちが消えなかったので、
ここに書き殴っていこうと思います。

 

今回はライブに行って一番心動いた

「戸山団地のレインボー」

をご紹介しようと思います。

この歌を理解するには、秋田ひろむ氏が青森県出身であり、
数々の苦難に飲み込まれ、心も体も憔悴しきり
地元に戻った経験があるということを知っていると、
より内容を理解しやすいかと思います。
また、実際に青森に土地を指していると思われます。
この辺?

それでは早速歌詞に入っていきます。


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(今回紹介の「戸山団地のレインボー収録」)


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戸山団地のレインボー あれはまだ引っ越したばっかの
八月の激暑 青森じゃ数年に一度の
買えなかった冷房 扇風機はしおらしく重労働

思い返しているところでしょうか。
情景描写が描かれています。
扇風機の描写には、これまでの秋田氏の
生き様も象徴しているのでしょうか…
何かの暗喩の気がしてなりません。

この描写からすると、
健気で大切な存在には見えているようですが、
冷房としての機能から言うと、
エアコンに比べると時代遅れ、効率が悪い、
というように、時代・状況には
マッチしていない様が見えてきます。

これは秋田氏の上京してからの仕事の様子だったり、
バンド活動がうまくいかなかった、
非効率な自分の動きを扇風機に重ねている、
そんな表現をしているのかもしれません。

この見方というのも、先日行けた、
ライブの始まる前の映像で知りえた情報から捉えることができたので、
この件も含めてライブに行けて本当によかったなと思います。

夢見てた成功 バイトも辞めて失くした退路

ずっと音楽をして、生計を立てていくことが夢であり、
自分が求めていた「成功」だったのでしょう。
生活をしていくためだっただろうバイトも辞め、
後には引けない状況を作り出し、まさに背水の陣。

これを覚悟と取るか、自暴自棄と取るか、
結果のみぞ知るところでしょうか。

子供の頃から焦がれて 虜になった

これは先にあげた夢見てた「夢」になるのでしょう。
音楽で生計を立てる、とてもとても甘い夢
でも、だからこそ焦がれてしまう
諦めが悪いと言えばそれまでですが
その気持ちを持ち続けることも一つの強さかと思います。

秋田ひろむが夢焦がれるまでに至った
アーティストとは誰なんでしょうか
とても気になります。

幾人もが辞めて 無理と笑われて
甘い夢は厳しい現実の中では

 

なかなか実現しないという苦い事実を突きつけます。
たくさんのひとが同じ夢を持つけど、
その苦汁を味わい、夢が絶たれる
それらの挫折を知った人が
現実をまだ知らない、と決めつけ夢への気持ちを
折ろうとしてきます。

嘲笑するのは自分が相手より現実を知っていると
優越感に浸りたいからか、はたまた
自分が成せなかったことをされるのを防ぐためか、
どちらにせよ、儚くもどこか悲しい、
これも一つの現実の姿でしょう。

もう夢物語じゃない 現実の肌触り

自分を窮地に追いやるからこそ、
くっきりとした輪郭を帯びて見えてきたリアル。
夢見る物だけではなく、自分の生活に紐づいた
現実的に実生活に密接にくっつくところまで
来ていることが表現されています。

金と生活の狭間に 夢が挟まってたんだ

窮屈なあいだの空間に押し込められていたのでしょうか。
2つの大きな必要な要素。
「生活」とそれを維持するための「金」。
そんな大義名分を言い訳にし、奥へと追いやっていたことを
表しているのかもしれません。

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ひたすらの自問と答えのでない苦悩のサビ

が表現されています。

戸山団地のレインボー 僕はまだ信じてみてもいいか?
ああ 今だけの音色 苦悩、苦痛も不可欠な色彩

住んでいるところから見えた虹。
そんな偶然の儚い存在に尋ねているのでしょうか。
でも、答えているのは自分自身なのかもしれません。

「ああ」は応答の「ああ」なのか。
それとも感嘆詞としての「ああ」なのか。
どちらか一方と断定するのは難しく、
僕はこれはどちらの意味もあるのではないかと思います。

答えている「ああ」であるとともに、
後の「今だけの〜」をこれも自分にとって、
大切な個性の1つだということを
噛み締めているのではないでしょうか。

また、

今だけの音色 苦悩、苦痛も不可欠な色彩

と捉えることができるようになっているということは、
いくらか希望的な見方をできるようになってきているからだと思います。
マイナスの要素の苦悩・苦痛も、
自分が奏でる音色には不足してはならない要素(色彩)
なのだと感じられているのは、
自分自身をきちんと理解しようと向き合っているからではないでしょうか。

土砂降りのレインボー 序章だけずっと生きてた気がして
ああ 行き先不明瞭 エンディングは迎えにこないから

土砂降りだけど、虹があるということは
陽が差し始めている、ということの表れでしょう。

天気が良くなる気配があるとともに、
秋田氏の心理的にも状況は変わらないものの
変わりそうな兆しが見え始めたという
描写なのか、と捉えることができるかと思います。

どうなるかは分からないが、
その結末を見届けに行こう、そんな思いが
エンディングは迎えにこないから、に
込められているのかもしれません。

もし、うまくいかなかったら...?

これを書いていて思ったのですが、
もしかしたら歌手としての道がうまくいかなかったら、そのまま……
ということを考えていたのかもしれません。

ボイコットの購入特典に書かれていた
描写的に自殺願望も持っていた時期もあるため、
そんな一つの決意、自暴自棄とまではいかないまでの
振り切った感情があるのかもしれません。

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44号線の 農道と新幹線の高架下
日陰者の根城 すれ違うのは軽トラと季節だけ

明確ではありませんが、高架下でストリートミュージシャンをしていたのでしょうか。
でも、誰も止まってくれる人はおらず
農道を走る軽トラ、時が流れて季節だけが
巡っていく描写でしょう。

足取りを清書 憤りも推敲を重ねて
泥のついた名著 労働の空き間に夢が暮らしてる

これまでの自分の人生を歌になるように、
詩になるように書き直していたのでしょう。
憤りを推敲というのは面白い表現ですね。

褒められた感情ではないだろう憤りを
良い文章になるべく推敲するというのは
この文章に皮肉と滑稽さを感じてしまいます。

泥のついた名著は仕事の最中本を読んでいたからでしょうか。
汚れがつくということで、ここでの仕事は
土木系などの日雇いの工事などの仕事がイメージされます。

労働の空き間というのは、周りが働いている中
夢を追う自分の姿を歌っているのでしょうか。
空き間ということで、充分な空間がなく、
窮屈さを感じる秋田氏の心理的な描写も入っているようです。

自分を疑いそうなら いっそ疑って
問い詰めたんだ 本心はどうなんだ?

そんな窮屈さを感じているからこそ、
今自分が取っている選択は正しいのか、疑う。

そう思うなら果ての果てまで疑うんだ、
そうしたら本心が見えるか、
そんな苦悩を描いているのでしょう。

月末の支払いに もどかしいこの苛立ち
天秤揺れる余地もなく やるしかない人生だ

夢だけでは生活できない無常に突きつけられる現実には、
それに対処する有効な手立てがないことに苛立ちを感じる。

だからといって、生活の天秤のウェイトを
重くすることもできず、自分が目指す道を
突き詰めようと奮起している場面でしょうか。

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戸山団地のレインボー 僕はまだ信じてみてもいいか?
ああ ここだけの音色 不平、不満も不可欠な色彩

1番のサビと同じ歌詞の復唱。
ここでも問いかけているのはやはり確信が持てず
不安だからでしょう。

ああ、の後が「今」から「ここ」に変わっています。
ですが、どちらもその一瞬だけの限定的な状態ですね。

土砂降りのレインボー 助走だけずっと走ってきたんだ
ああ 行き先不明瞭 エンディングは迎えにこないから

序章から助走に変わっています。
音で韻を踏みながら、意味合いとしても
ほぼ変わらず自分の人生の本番には
まだ達していないという内容を歌っています。

漢字は大きく変わりながらも音・意味を
巧みに変えてくる秋田氏の言葉遊びの技術には
感服しますね。

居酒屋、カフェ、県のイベント タウンホール、前座、武道館
どこだって歌わない上辺 どうせ賑やかしには似合わねえ

様々な場所・場面が浮かびます。
音楽活動をしてきた場所たちなのでしょう。

上辺を歌わない、ということは
自分の本当の中身を歌っているということでしょうか。
少し荒く聞こえるかもしれませんが、
賑やかしで聴いているような表面上のものしか
受け取れない人には自分の歌は合わないということを
歌っているのかもしれません。

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タイトルのレインボー:虹の意味とは

根拠のない自信はもう捨てて 根拠のある自信を探し出せ
たかが太陽光の反射に ほだされて定まった決意じゃねえ

いつまでも自分の芯を見つけられないまま
じゃなく、これというものを見つけろ!
ほだされるというのは情にひかされて、
自分の思いとは違う行動を取るという意味。

ここで太陽光の反射という、情も何もない
あたたかく降り注ぐ陽気に流されて固まるような
何となくで出来上がったものじゃなく
しっかりとした中身を作り出せ!
そんなことを歌っているのかと思います。

失敗や困難だらけの僕らだから 僕らだけの景色を描けるはずだよな
その返事みたいに 合図みたいに 虹が架かった 道は繋がった

改めて、自分の姿・状況を受け止めて、
マイナスを表現で消化(昇華も?)して
僕らだけの景色=自分たちだけの表現が
できるはずだよ、そんなことを歌っているのでしょう。

ここまで書いてきて気づいたのですが、

太陽光ではなぜダメなのか、

何となく分かったかもしれません。

反射するほど太陽光が当たるということは
空は青空になっているでしょう。

ですが、この時の秋田氏も?含め、
悩んでいる・苦悩している人の心は
晴れやかでしょうか?

どんよりとした曇り、または雨模様のような
陰鬱とした天気が想像されます。

そこから解決や自分の進む道が見える、
つまり、晴れ間が広がる、降っていた雨に陽が差し、虹が架かる。
だからこそ、太陽光ではダメなんです。

決意を太陽光では見つけていないんです。
雨の中(陰鬱とした心の中)で、自分自身と
向き合い続けて見つけたから、自分の中の答えを見つけ、
晴れ間が差し込み始めたんです。

そうして、変化を迎えたからこそ、
雨が降っていたからこそ、陽が差し込み始めて、
雨に光が反射して虹が架かった。

架かるという言葉は「橋を架ける」など地点を繋ぐ意味を持ちます。
虹はある地点とある地点を結ぶ放物線を描きます。
虹が架かったということは、別の場所から別の場所への繋がりが見えた。
自分の向かう先(目標)がしっかり見えたということではないでしょうか。

だからこそ、太陽光や青空といった晴れやすぎるイメージではなく、
雨がないと生まれることのない、虹ではないといけないのです。

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そしていつものamazarashiらしさへ

戸山団地のレインボー 君はまだ信じていてくれるか?
ああ 僕だけの音色 失意、挫折も不可欠な色彩
土砂降りレインボー 序章からやっと抜けたところ
ああ 行き先不明瞭 エンディングを迎えに行くんだ

大きくは変わっていませんが、「ああ」の後が
「今だけ」「ここだけ」と現象を限定していた
ところから「僕だけ」に変化しています。

「今だけ」「ここだけ」よりもさらに、
限定的な「僕」が「自分だけ」が持ち得る
武器であり、魅力、誇れるものなのだと自認したのでしょう。

序章から抜け、本編が始まる。自分の人生が
本当の意味で始まるんだ、ということを自分でも意識して奮起させ、
だからこそ本気で打ち込むんだ、そんな静かなやる気を感じるような気がします。

ですが、その終わりがどこに辿り着くかはまだ分かっておらず、
不安もありながらも「エンディングを迎えに行く」という表現には
どういう結末であろうと、そこに辿り着くことを
どこか楽しみにしている、そんな節が感じられるような表現に
なっているように感じます。

高望みをせず、適度な諦めを持ちながら、
前へ向かおうとしている、そんな僕が感じる
amazarashiらしさがとても出ている表現の
最後のサビだと思います。

戸山団地のレインボー あれはまだ引っ越したばっかで
夢見てた成功 希望を足せば僕だけの色彩

最後に帰省してきた直後を思い起こしています。
ですが、打ちひしがれて戻ってきたにしては
景色が明るいです。

場所は一緒かもしれませんが、これは秋田氏が幼い頃のイメージでしょうか。
1番の原点は幼き日の淡い憧れ、そんな原風景が
最後に表現されているのかと思います。

最後に、自分らしさの始まりを描くのは
おしゃれな感じがしますね。

ということで、戸山団地のレインボーの歌詞解説、考察でした。

想像以上に長くなってしまいましたが、
しっかり内容を見れたかなあと思います。
考察を書いているうちに新たに見える部分もあり、
自分の中でより一層深みが増した感じがします。

少しでも、amazarashiの魅力を再確認出来たり
新たな発見の一助になっていたら幸いです。


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